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「ホームページ制作、なんでこんなに高いの?」20年の見積もり相場推移と失敗しない価格の見極め方

9月23日
読了時間: 11分

更新日:9月27日


「ホームページを作りたい。でも、いくらが妥当なのかわからない」

目次

見積書を手にした担当者は、首をかしげます。

昔はもっと安かったはずだ。いや、別の会社から届いた見積もりは、驚くほど安い。何が違うのか、金額だけを見つめていても答えてはくれません。


この20年で、Webサイトの値段は大きく変わりました。

ですが、それは単に「物価が上がったから」ではないのです。企業が何に費用を払うのか、その「中身」が根底から変化しました。


かつて、制作費の中心にあったのは「ページを一つずつ手で作る人の手間」でした。

今は違います。作り方の仕組みそのものを選べる時代です。


ただページを作るだけなら、以前よりはるかに安く済む場合もあります。一方で、見込み客に見つけてもらい、問い合わせを獲得し、売上につなげる仕組みを作るには、全く別の専門性が必要になります。


同じ「ホームページ制作」という名目であっても、買っている仕事の中身はまるで違います。


安価な見積もりと高額な見積もりを並べて悩む前に、知っておくべきことがあります。

私たちは「何を作り」「公開した後に誰が何を続けていくのか」。


この記事では、過去20年の制作費と運用費の変化を追いながら、見積もりの差が生まれる「本当の理由」を解き明かしていきます。

1. 【一覧で見る】Web制作・運用費「20年の変遷サマリー」


まずは、過去20年におけるWeb制作・運用を取り巻く環境の変化を、技術・費用相場・見積もりの算出ロジックという3つの軸で整理してみましょう。


時代

主な技術・環境

制作費の相場(中規模)

運用費の相場(月額)

見積もりの主な算出ロジック

2000年代半ば



(2005〜2009)


・Flash全盛



・HTML4 / CSS2



・PC閲覧が前提


100万〜200万円

1万〜3万円



(ドメイン・サーバー維持)


積算(ページ単価)型



1ページあたりの制作単価 × ページ数


2010年代



(2010〜2019)


・スマホ(iPhone)普及



・WordPress(CMS)爆発


80万〜250万円

3万〜10万円



(保守・アプデ・記事更新)


システム+テンプレート型



CMS構築費 + 共通設計費 + 原稿流し込み費


2020年代〜現在



(2020〜2026)


・SaaS(Studio/Shopify等)



・ノーコード / UXデザイン


二極化



SaaS: 0万〜30万円



戦略型: 150万〜500万円超


二極化



1万〜30万円超



(セキュリティ・広告・DX)


コンポーネント・成果対価型



デザインシステム・UI/UX・要件定義・成果設計


こうして見ると、時代の変化とともに「お金の払いどころ」がスライドしてきたことがよく分かります。


それぞれの時代で何が起きていたのか、詳しく見ていきましょう。

2. 2000年代半ば:静的HTMLとFlash全盛の時代


「職人の手作業」と「積み上げ式の見積もり」


2005年から2009年頃。ADSLや光回線が広がり、企業にとって「ホームページを持つこと」が当たり前になり始めた時代です。


当時求められたのは、まず「存在すること」でした。

会社概要、事業内容、問い合わせ先。紙の会社案内を、そのまま画面の中に引っ越したようなサイトが主流でした。


制作費の中心にあったのは、泥臭い「人の手作業」です。


デザイナーがPhotoshopで画面を描き、コーダーがDreamweaverを打ち込みながら、HTMLやCSSを1ページずつ手打ちで書いていく。ページが増えれば作業も増える。内容を直すのにも、当然人の手が必要でした。


トップページで画像を動かすなら、Flashを扱える専門のクリエイターを呼びます。「動く会社案内」を作るだけで、特別な工程と費用が発生していました。


当時の見積書は、非常にシンプルで分かりやすいものでした。


  • 何ページ作るか?


  • どれだけ凝ったデザインにするか?


  • Flashを使うか?


完成までに必要な「作業量(物量)」が、そのまま価格を決めていたのです。


当時の見積もりロジック(物量依存)

見積もりは、分かりやすい「積み上げ式(積算)」でした。


  • トップページ制作費:10万〜20万円 / 1P


  • 下層ページ制作費:1.5万〜3万円 / 1P


  • Flashアニメーション制作費:10万〜50万円(内容による)


  • お問い合わせフォーム構築費:5万〜10万円(CGI/PHPによる個別プログラム)


たとえば、トップページが1ページ、下層ページが30ページ、問い合わせフォームが1つだとします。

下層ページの制作費を1ページあたり1.5万〜3万円で計算すると、それだけで45万〜90万円。トップページやフォームの費用を足せば、総額は100万〜150万円になります。


ページが増えれば、金額も増える。

制作費と物量の関係が、もっとも明快だった時代です。


公開した後も、触るたびに費用がかかった

サイトを公開すれば、サーバーやドメインの維持費(月額1万〜3万円程度)がかかります。しかし、本当の負担はそれだけではありませんでした。


当時は静的なHTMLファイルで作られていたため、自社の担当者が管理画面から文章を直すことは困難でした。


「お知らせに一行追加したい」

「社員の写真を一枚差し替えたい」


そのたびに制作会社へメールやFAXを送り、作業を依頼します。

どれほど小さな修正であっても、人が動く以上、数千円〜数万円の作業費が発生する。作って終わりではなく、「触るたびに費用がかかる」のが当たり前だったのです。

3. 2010年代:スマホシフトとWordPressの爆発的普及


一つのページを、複数の画面で見せる時代へ


2010年代に入りスマートフォンが普及すると、Webサイトは新しい課題に直面しました。

パソコンで読めていた文字が、スマホでは小さすぎて読めない。ボタンが指で押せない。


そこで登場したのが、画面の幅に合わせてレイアウトを自動調整する「レスポンシブWebデザイン」です。

同じページでも、PC、タブレット、スマホで正しく表示させる。そのためのデザイン・動作検証の手間が増えました。


「1ページ作れば終わり」とはいかなくなり、案件によってはページ当たりの制作工数が従来の1.5倍〜2倍近くに膨らむことも出てきました。


WordPressが「ページ単価」の意味を変えた

時を同じくして、「WordPress(ワードプレス)」の爆発的な普及が起きます。


これによって、1ページずつHTMLを一から作る必要はなくなりました。

あらかじめ共通のデザイン枠や表示の仕組みを作っておき、管理画面から文章や画像を登録すればページが生成されるようになったのです。社内の担当者自身で「お知らせ」を更新することも可能になりました。


ここで、見積書の重心がガラリと移ります。

「ページを何枚作るか」ではなく、「どんな仕組みを最初に構築するか」が価格を左右するようになったのです。


この時代の見積もり内訳は、次のようなイメージです。


項目

費用の例

基本設計・要件定義

10万〜20万円

WordPress構築・初期設定

10万〜20万円

共通デザインとテンプレート実装

30万〜60万円

原稿流し込み(ページ登録)

1ページあたり 3,000円〜1万円

文字を入れるだけの「原稿流し込み」自体の単価は、ぐっと安くなりました。

しかし、その手前に「共通の仕組みを作る費用」がかかっています。


30ページ作るときでも、30回同じ作業を繰り返すわけではありません。



[構造の変化]
【旧来】ページ数に比例して工数が増える(10ページ=10の工数)
【CMS】最初に「枠組み」を作る + 後は「原稿を入れる」だけ(量産しやすい)

共通テンプレートさえ作ってしまえば、下層ページを10ページ作ろうが100ページ作ろうが、追加の手間は流し込み作業だけです。

結果として、「ページ数が10倍になっても、総制作費は10倍にはならない」というスケールメリットが生まれました。


制作費は、単純な「ページ数×単価」の掛け算では説明できなくなったのです。


運用費は「置いておく費用」から「動かし続ける費用」へ

WordPressの導入で、自社で記事を更新できるようになりました。

しかし引き換えに、「システムを安全に維持する管理コスト」が発生するようになります。


WordPress本体やプラグインは定期的にアップデートされます。バックアップを取り、動作に異常がないか確認しなければなりません。放置すればセキュリティリスクが高まり、改ざんや不具合の原因になります。


この時期から、サーバー代とは別に「システムの保守・管理費」が見積書に載るようになりました。


  • WordPress本体・プラグインの更新


  • データベースやファイルのバックアップ


  • 不具合や不審なアクセスの監視・復旧対応


さらに、検索流入を増やすための「記事制作」や「アクセス解析」を依頼する企業も増えました。


ここで運用費の性質がもう一度変わります。

「システムを安全に保つ仕事」と「サイトを使って成果を伸ばす仕事」が、同じ「月額運用費」という名目で混ざり合うようになったのです。


月額3万〜10万円という数字を比較するときは、その内訳を見る必要があります。

安全に維持するだけなのか。集客や改善のサポートまで含まれているのか。同じ金額でも、買っている仕事の内容は全く異なるのです。

4. 2020年代〜現在:SaaS・ノーコード普及と「超・二極化」の時代


無料で作れる。それでも、数千万円かける企業がある


2020年代の今、ホームページを公開するだけなら、驚くほど費用をかけずに始められます。

StudioやWix、Shopifyといったツール(SaaS)を使えば、用意されたデザインを選び、文章と写真を入れるだけで、自分たちの手でサイトを作れてしまいます。


一方で、1つのWebサイト制作に数百万円、ときには1,000万円以上を投じる企業もあります。


同じ「ホームページ制作」という言葉を使っていても、買っているものが根本から違います。


  • 前者の購入物:情報を載せるための「箱(場所)」


  • 後者の購入物:見込み客の獲得・採用・営業・決済までを自動化する「事業の仕組み」


自分たちで作る領域(SaaS・ノーコード)

ノーコードツールの進化により、プログラミングの知識がなくてもサイトを作れる時代になりました。テンプレートを使い、自社で原稿を用意すれば、初期費用0円〜数十万円、制作期間も即日〜数週間で公開できます。


もちろん、ドメイン代や有料プランの利用料、社内担当者の人件費はかかります。

ですが、「作るための基盤」はツールが用意してくれます。あとは「誰に何を伝えるか」を自分たちで決めるだけです。


事業の仕組みとして作る領域(戦略型)

一方で、サイトに明らかな「成果(売上や採用)」を求めるほど、作る前の準備段階に莫大な仕事が発生します。


  • 顧客はどんな悩みで検索しているのか?


  • どんな情報を見せれば、問い合わせたくなるのか?


  • 営業チームに渡すべき「質の良いリード」とは何か?


  • 採用応募者に、どんな順番で自社の魅力を伝えるべきか?


これらを徹底的にリサーチし、設計し、形にし、公開後も数値を分析して改善し続ける。

さらに顧客管理システム(CRM)や決済機能と連携させるとなれば、費用も期間も大きくなります。200万〜500万円以上、大規模なプロジェクトでは1,000万円を超える見積もりになるのも、ごく自然なことです。


金額の差は、画面の見た目の美しさだけで生まれるのではありません。

「サイトに任せる仕事の範囲」が全く違うのです。


見積書から「1ページいくら」が消えていく

現代の制作においても、ページを作る作業費自体は存在します。しかし、大規模な案件になればなるほど、「ページ数」だけでは総額を説明できなくなります。


見積書に並ぶのは、次のような項目です。


  • 事業へのヒアリング・課題整理


  • ユーザー体験(UI/UX)の設計


  • デザインシステム(共通部品)の構築


  • 外部システム(CRM・決済等)との連携


ボタンやカード、フォームといったパーツを最初に「共通システム」として設計・構築しておけば、後からページを自由に増やせるようになります。


例えば、共通デザインシステムの構築に30万〜100万円。構築されたパーツを使ったページ作成に1ページあたり1万〜3万円。外部システム連携に20万〜100万円……といった形です。


かつては「ページ数を数えれば大体の金額が見えた」時代でした。

今は、同じ10ページであっても「何を動かし、何を表示し、どこへデータをつなぐか」によって価格が劇的に変わる時代なのです。

5. 【整理】「ページ数」と見積もり思考の20年史


制作費の指標として長年使われてきた「ページ数(物量)」という概念が、この20年でどう変化したのかを最後にまとめます。



【2000年代】積算思考(1ページ = 手作業の労働量)
 ├── 手作業でコーディングするため、ページ数と費用が完全比例。
 └── 「ページ数を増やせば、そのまま費用も高くなる」時代。
      ↓
【2010年代】構造化思考(共通枠 + 原稿の流し込み)
 ├── CMS(WordPress)により、共通の仕組みを構築する初期コストが肥大化。
 └── 枠組み完成後の「ページ量産」は低単価化。
      ↓
【2020年代】機能・成果思考(デザインシステム + UI/UX + 成果指標)
 ├── たった1ページの「LP(ランディングページ)」でも、緻密なマーケティング設計により100万〜200万円になる。
 └── 一方で、SaaSを使えば100ページのサイトも数万円で作れるようになり、「ページ数 = 制作費」という相関関係は完全に崩壊した。


結論――高いサイトが必要なのではない。目的に合うサイトが必要なのだ


この20年で、「ホームページという形を作るコスト」は大幅に下がりました。

1ページずつ手作業で作っていた時代とは違います。今は自社で安く作ることも、小さく始めて後から育てることも思いのままです。


だからこそ、発注する前に私たちが決めるべきことがあります。


「そのサイトに、何をさせたいのか?」


会社概要と連絡先を示せれば十分なら、Studioなどのツールを使って自社で作る選択肢があります。外部に頼む場合でも、作業範囲を絞れば費用を抑えることができます。


一方で、問い合わせや採用応募を増やしたいなら、見た目の綺麗さやページ数だけで判断してはいけません。

誰に見つけてもらい、何を読んでもらい、どうやって行動を起こしてもらうのか。そのための「設計」と「公開後の改善」に費用がかかるのです。


ただし、成果を求めるサイトが最初から数百万円でなければならない、という決まりもありません。必要な機能からスモールスタートし、反応を見ながら投資を増やしていく道もあります。


見積書の「金額」だけを比べても、答えは出ません。


制作範囲はどこまでか。原稿は誰が書くのか。公開後の更新や改善は誰がやるのか。

そこまで踏み込んで初めて、「その価格で、何を買えるのか」が見えてきます。


ホームページは、公開した日に完成するものではありません。

事業の変化に合わせて情報を整え、反応を確かめ、育てていく存在です。


20年で変わったのは、制作技術だけではありません。

「企業がホームページにお払うお金の意味」そのものが変わったのです。


この記事の執筆者


坂本 迪宇|ネットフェニックス合同会社 代表取締役


採用支援、ホームページ制作、Web広告運用に携わる。実務で得た知見を基に、企業の採用と集客に役立つ情報を発信しています。


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